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新水会

小唄探偵「麻布七村」七不思議編 その一

 「麻布七村」

麻布七村 七不思議

まず狸穴に俄善坊

気が知れないのは六本木

闇ににょっきり 

摩訶般若波羅蜜多で逆さ銀杏

一本松は何代目

おばけ椿に蛙合戦 蝦蟇の池


曲そのものの謎はそのままに、今回からは歌詞の謎について考察します。

これも野暮と言われればそれまでですが、小唄探偵は調べずにはいられないのです。


今回は現地に足を運んでみることにしました。


まずは麻布図書館で情報収集して、資料を見つけました。 


「麻布区史」昭和十六年

「続 麻布の名所今昔」 永坂更科発行 昭和四十九年 


「麻布区史」は古いものですが、町名の成り立ちやら旧跡名所の云われなど、麻布近辺の歴史を網羅する一冊です。

「続 麻布の名所今昔」は昭和30年代頃の麻布周辺の写真が沢山載っており、しかも大型の豪華本です。有名なお蕎麦やさんがなぜにこのような本を??と思いましたが、ちょっと調べると、永坂更科にも中々ややこしい歴史があるようで…、うっかりそちらに興味が移りそうになりましたが、

本題に「カエル」(十番稲荷神社 蝦蟇池の蛙)とします。


そもそも麻布七村とはなんなのか。

1690年代(元禄年間)に龍土町・谷町・六本木など計7村を併せて麻布村と総称していたことに由来するようです。


では麻布の七不思議とは…

麻布の七不思議は諸説あるとのことですが、この曲では以下の通り。

他にも「柳の井戸」「長坂の脚気石」「谷町の遊女屋敷」など色々あるようです。


1狸穴(の婚礼)

2我善坊(大鼠または猫股)

3六本木

4逆さ銀杏

5一本松

6おばけ椿(七色椿)

7蝦蟇の池


資料から得られたことを詳しく書こうと思いましたが、DEEP AZABU.netというサイトが、それもう完璧に網羅されているので、興味のある方は是非そちらを参照してください。とにかく麻布七不思議の全てがわかります。


私個人的には一次資料に触れることができてとても満足しました。この猛暑ですので現地見分はやめようかと思いましたが、資料に目を通したらどうしても現存する七不思議をこの目で見たくなり、「逆さ銀杏」と「一本松」を見に行きました。


逆さ銀杏の善福寺。

背後にそびえ立つ高層マンションのおかげで、歴史あるお寺の割にシュールな近未来的絵面になっています。左手に見えるのがおそらく逆さ銀杏。


こちらが逆さ銀杏。

近くで見ると、想像していたよりも何倍も大きくて圧倒されました。

周囲10m以上はある楕円形の幹から、大きな枝が何本も分かれています。

空襲で焼けてしまったため、これでも元の3分の一程度の大きさとのこと。

下がってみても全景が入らず。

右手につららのように垂れ下がっている枝があることから、逆さ銀杏と呼ばれるのだとか。

そんなことよりも、この大きさだけで十分摩訶不思議な存在です。


ところで、参拝した際に親鸞上人のお像があることに違和感を覚えました。

なぜかというと…親鸞上人ということはこのお寺は浄土真宗なわけですが、「麻布七村」では浄土真宗では唱えることのない般若心経が逆さ銀杏に係る詞になっています。

お寺のHPをみると、弘法大師により824年(平安時代)に開山し、鎌倉時代に親鸞上人の高徳に傾倒して真言宗から浄土真宗に改宗したのとのこと。

そんな経緯から「逆さ」にかけているのかも…と想像が膨らみました。


色々考えるうちに、七不思議そのものよりもその合間をうめる「気が知れない」「闇ににょっきり」「何代目」などの詞が気になってきました。



七不思議編 その二に続きます。

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下浚い

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