「麻布七村」
麻布七村 七不思議
まず狸穴に俄善坊
気が知れないのは六本木
闇ににょっきり
摩訶般若波羅蜜多で逆さ銀杏
一本松は何代目
おばけ椿に蛙合戦 蝦蟇の池
小唄「麻布七村」の謎に迫る!その二です。
「麻布七村」についてわかっていることは、
昭和に作られた曲で、作曲は「鳳富美」さんという方である、それだけでした。
古典以外の小唄のことを調べる時はまずこれが定番です。
木村菊太郎著「昭和小唄」(その三は手元になかったので、図書館で借りました)
残念ながら「麻布七村」についての記載はありませんでしたが、
鳳富美さんについて知ることが出来ました。
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蓼胡津美(大正二年〜平成二年)のちの鳳富美
入舟町に生まれ、地芸は長唄・清元・河東・歌沢。
小唄は昭和二十年に田村小唄に就き、次いで蓼胡津留門下に入って二十六年に胡津美を名乗る。小唄の作曲については、杵屋正邦の門に入って修行し、二十七年頃から小唄の作曲を始める。
三十五年には三越劇場でリサイタルを開催、その記念として翌年に「蓼胡津美随筆集 いずみ」を上梓。三十七年師の許しを得て蓼派を離れて独立し、鳳富美を名乗る。
品川区小山「鳳小唄学園」を本拠地として活動した。
四十八年に邦楽評論家・邦楽作詞家の金子千章と再婚。
その後は夫と共に小唄の作詞作曲に邁進し、その数は六百二十五曲に達した。
平成二年に七十七才で歿したのちは家元を嗣ぐものがなく、鳳派は一代で解消となった。
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とても先端的な曲を作られていたようで、
「首飾り」という曲の解説には「…コンパルシータのリズムを使い、やがて小唄になっていゆく」、また「ネクタイ 」という曲の解説では「ダンス音楽のブルースを使った糸の演奏が効果的であった」とあります。コンパルシータはおそらくラ・クンパルシータでタンゴと思われますが、ブルースっていわゆる黒人音楽のあのブルースなんでしょうか??
曲調が全く想像出来ません…。
「昭和小唄その三」にはポートレイトも載っていました。
ここに転載はできませんがそれはもう垢抜けた美しい方で、まるで映画女優みたいです。
斬新な曲調の謎も相まって、ますます興味がわきますね。
しかも随筆集を出されていると知ったからにはどうしても読みたくなり、
古本屋さんで探して手に入れました。
「蓼胡津美随筆集 いずみ」美津和会出版部 昭和三十六年
小唄探偵の活動はまだまだ続きます。
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