「麻布七村」
麻布七村 七不思議
まず狸穴に俄善坊
気が知れないのは六本木
闇ににょっきり
摩訶般若波羅蜜多で逆さ銀杏
一本松は何代目
おばけ椿に蛙合戦 蝦蟇の池
小唄「麻布七村」の謎を追う!その三です。
歌詞の謎は後にとっておくとして、
いまのところは作曲者である鳳富美(蓼胡津美)さんについて調べています。
「蓼胡津美随筆集 いずみ」という本を出版されていることを知り、取り寄せました。
「蓼胡津美随筆集 いずみ」美津和会出版部 昭和三十六年
徒然なるエッセイが中心で、後半には自作の短歌や俳句、作曲作詞された小唄が載っていましたが、残念ながらこちらにも「麻布七村」のことは書かれていませんでした。余談ですが、元々短歌がお好きだったようで、鳳富美という名は与謝野晶子の旧姓「鳳志やう(ほう しょう)」からとったのだとか。
泉ありてそのいとしみのつきなくて 今底ふかくおぼれむとする
自作短歌の最後に載っていたものです。
本の題名にもなっている「泉」は、もしかすると小唄のことを指しているのではと思いました。とすれば、この歌には小唄に対する想いの強さや創作意欲が込められているのではないでしょうか。とても印象に残る歌でした。
随筆自体も気負いのない美しい文体で書かれており、思いがけず素敵な本に巡り会えたと喜んでいるのですが…だがしかし、今もって「麻布七村」の詳細は不明なままです。
このままでは終われないので、鳳さんの周囲に作詞をした方がいるのではと思い、ご主人である邦楽研究家の金子千章さんの著作を調べることにしました。
しつこいようですが、まだまだ続きます。
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