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小唄 上野の鐘

  • 新水会
  • 2020年11月13日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年11月22日

 小唄 上野の鐘


〽上野の鐘の音も凍る 春まだ寒き畦道に

 積もるも恋の淡雪を よすがにたどる入谷村

 門のとぼそに橘の 忍ぶ姿の直次郎



歌舞伎の”三千歳直侍”が題材の唄です。直次郎がその悪事のため江戸を逃げ出す直前、入谷の大口寮で養生している三千歳に忍び逢いに行く場面です。天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)の六幕目、「雪暮夜入谷畦道(ゆきのゆうべいりやのあぜみち)」として知られています。河竹黙阿弥作、初演は三千歳が八代目岩井半四郎、直次郎(直侍)は五代目尾上菊五郎。


河内山宗俊と同様に、三千歳と直次郎にも実在のモデルがいたそうです。「歌舞伎手帖(著渡辺保)」には実在する直次郎の妹さんのコメントが載っていました。「直次郎のかっこよさは五代目(菊五郎)なぞ遠く及ばないよ」というものですが、それを読んだ時には歌舞伎の舞台がいきなり現実世界に繋がったようで、不思議な感覚でした。もっとも、黙阿弥の頃の歌舞伎は、世間の耳目を集めた事件をそのまま脚本化することが多かったのです。


この唄を稽古していて気になったのは、「橘の」という歌詞です。


歌舞伎で橘と言えば、橘屋。市村羽左衛門です。

この小唄は九代目団十郎の娘婿、市川三升(十代目団十郎)の作詞です。ですから創られた時期は初演からちょっと下ると思われます。

三升が「当て書き」で創ったのであれば、その時代性と名声から考えて直次郎は「花の橘屋」十五世羽左衛門でしょうか。直次郎は羽左衛門の当たり役の一つです。


趣味で歌舞伎の古い芸談集や舞台写真を蒐集していたことがあり、羽左衛門も何枚かあったなと思い出して探してみました。


三千歳への手紙を書いているところでしょう。やはり素敵ですね。

直次郎の妹さんだったらなんとコメントするのでしょうか。

あいにく雪の入谷の雰囲気はわかりませんが、

「花の橘屋」の姿の良さを思い描きながら、稽古に励みたいと思います。

 
 
 

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