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冬の唄 梅川(今日一日を)

  • 新水会
  • 2020年11月21日
  • 読了時間: 2分

更新日:2020年12月2日

冬を題材にした唄は、静かな中に動きや感情を表す歌い方が求められる気がします。

音も無く深々と降り積もる雪のようなイメージです。


春は浮かれる心のままに、夏はきりりと涼しげに、秋は人恋しさを込めつつ…

といったように、季節ごとに概ね決まった地の気持ちがあると考えて稽古をしていますが、なかでも冬の唄が一番難しいと感じています。

背景の静かな冬景色と、語られる人物の心情との差が大きいからでしょうか。


たとえば、「梅川(今日一日を)」


〽今日一日を千日と 心の限り身の限り 

 温められつあたためつ 泊まりとまりの旅籠屋で 

 二十日あまりに四十両 使い果たして二分残る 

 この世の名残ふるさとへ 一足ずつに消えてゆく 

 恋の白雪踏みしめて 雪の夜道を落ちて行く 


歌舞伎「梅川忠兵衛」を題材にした唄です。


個人的には「カッとなって公金に手を出した忠兵衛の自業自得では」と興ざめなことを思いがちですが、いざ舞台を見ると、雪景色の中比翼の衣装の二人が登場する場面では、その美しさにうっとりしてしまいます。美しすぎて、「白粉が衣装に付かないようにするの大変そう…」という心配も同時に浮かびますけれど。


ところで歌舞伎の演目の通称には、愛し合う男女の名前を合わせたものが沢山ありますが、多くが女性・男性の順ですね。

梅川忠兵衛 三千歳直侍 お染久松 お初徳兵衛 十六夜清心 

例外は…安珍清姫や権八小紫などでしょうか。ただし安珍清姫は他のカップルとは違って、相思相愛ではないですから特に例外かもしれません。


戸板康二のエッセイにそんな話があったはずと思い出し、また蔵書を探してみました。たしかに「歌舞伎題名絵とき(駸々堂)」にありましたが、「ロミオとジュリエット」「トリスタンとイゾルデ」など西欧とはちがうのだとしか書かれていませんでした。

単なる「語呂の良さ」以外に、なにか理由があるのでしょうか。気になります。

 
 
 

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